フリーランス漫画家の裏日記

とあるアイドル好きの漫画家の日記とちょっとしたぼやき。

書籍ヲタ夫婦ありがとうございます & 「女に幸あれ」の思い出

ブログはご無沙汰していました。お久しぶりです。藍です。

書籍「ヲタ夫婦 アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。」が6月12日に発売されました。

ヲタ夫婦: アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。 (MOBSPROOF EX)

ヲタ夫婦: アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。 (MOBSPROOF EX)

 

私の著作としてはミリオンドールから数えて三冊目、エッセイコミックは初挑戦となった書籍ですが、書籍というのは何回出しても初めてのような気持ちになります。

皆様の購入報告や、書店さんで展開くださっている報告などを耳にするたびに、ヲタ夫婦を中心として、人のあたたかさを感じる毎日です。 

すごく率直な感情のお話をすると、発売直前の私の気持ちは本当に落ち込んでいて、期待をかけてくれた関係者の方に損が出ない程度には売らなきゃというプレッシャーや、作家として今後を考えたときに失敗できないという焦りとか、そもそもこの作品はアイドルやアイドルオタクというキャッチーな要素だけでWEBのコンテンツとして成立しているんじゃないだろうか、だから書店まで足を運んでお金を出してまで求めてくださる読者の方はいるんだろうか…というなんともいつも通りのネガティブで根暗なことを勝手に考えてループしてました。

結果として、発売から6日たった今、
私はとても穏やかな気持ちになっています。
それは、買ってくださった皆様の声とか、話題にしようと尽力してくださってる関係者の方々とか、書店で会った人々のこととか、全部を楽しんでくれている夫の協力とか、作品作りに尽力してくれてるチームの子達とか、そういう思いに直接ふれた6日間をすごすことができて、一人で気負いすぎていたかもしれないとか、私だけで頑張らなくてもいいんだとか、純粋に厚意や応援や読者の方の姿を直接肌で感じたり、SNSの情報の上で暖かい気持ちになることができました。

数字や実績として、最終的にどんな結果になるのかはまだもう少し時間が必要ですが、
今の時点で私はもうどんな結果になっても幸せだと感じました。
そんな気持ちにさせてくれた読者の皆様、関係者の皆様に、心から感謝しています。本当にありがとうございます。

 

そんな感じで、終わりっぽい雰囲気になっちゃいましたが、ヲタ夫婦の書籍プロモーションはまだしばらく続きます!
取り急ぎ、もし来れる方は6月23日のイベントにいらしてください。私も直接感謝を伝えたいですし、何よりこのお祭りを盛り上げてくれた皆様と楽しい時間を過ごしたいです。

イベント詳細:「ヲタ夫婦 アイドルヲタクな2人はこうして結婚できました。」発売記念イベント「ヲタ夫婦の結婚式」(仮題) – LOFT PROJECT SCHEDULE

 

そして今日はもうちょっと長文をしたためさせて頂きます。

2007年、漫画家を目指して上京したての私は、アシスタントもアルバイトも一人暮らしの生活も何もかもうまくいってなくて、その気持ちのはけ口をアイドルを見ることで癒していた時期をすごしていました。

特に、同い年の高橋愛ちゃんのいる当時のモーニング娘。の曲は、自分の今の境遇の応援歌のようで何度も口ずさんでいたことを思い出します。

女に 幸あれ(初回生産限定盤)(DVD付)

女に幸あれは2007年にリリースされたモーニング娘。のシングルです。
この曲は浮気されて彼氏?をとられてしまった女の子の独白を歌った少し歌謡曲ちっくな曲なんですが、ちょうどモーニング娘。も逆境の時期で、リーダー就任が発表された藤本美貴ちゃんがスキャンダルで脱退した直後のリリースでした。

この曲、当時オタクウケはあまりよくなかったように思いますが、私は「幸せじゃない現実にもがく女の子の気持ちを同年代のアイドルのキラキラした子たちが本気で歌ってくれている」という事実にすごく救われて、バイト先から帰宅する薄暗い高架下の下を、家賃五万円のアパートまで、喫茶店でもらったパンの耳と百円マックで買ったチキンを片手にぶらさげて、ぺたんこの靴で歩いて帰りながら何度も口ずさんでいました。

ああ いつかは
幸せが来るわ
そうじゃなけりゃ
不公平すぎる

当時知人男性と飲みに行った時、「君は人生一人で生きていけるみたいな顔してるね」と言われたことを真面目に受け止めて非常に傷ついていた私は、この曲の歌詞は色々刺さるものがあって、縋るみたいに何度もリピートしていたな。

今この曲を歌ってくれたメンバーは全員モーニング娘。にはもういなくて、それぞれの人生を歩んでいて、結婚して幸せになった子も沢山いる。
パンの耳と安いファーストフードで生きていた孤独なハタチの頃の私も、今はもうここにはいなくて、目指していた漫画の仕事をしながら、愉快な夫と結婚して、それでも理想通りにはいかない現実を忙しく生きている。
あの頃私の狭い人生を構成していたものは皆なくなってしまったけど、あの頃の私は確実に当時のモーニング娘。に救われていた。

時代は変わって行って、今はたくさんのアイドルがいて、アイドル好きと名乗ることもはばかられない生きやすい世の中になってきた。
若い子がいいとか、洗練されたお姉さんに憧れるとか、手の届かないアーティストが好きとか、色んな需要が生まれて、色んなふうに人々がアイドルを楽しんでいる。私もそういう今をそれなりに楽しんで生きている。

でも、ふと自分の人生が少し変わる時、何かの節目に出会った時に、
同性のアイドルの女の子たちが、同じ時代を同じようなタイミングで生きていて、発信されるものをきっと同じような完成で受け取りながら、同時代性を過ごしていた日々に救われていたことを思い出す。思い出して、いつも感謝をする。
まあ、国民的アイドルと何物でもない当時の自分の境遇を重ねて救われてたなんてとても痛々しい自分の若かりし思い出ですが、若いころってそういうことあるよね。
すべて過去になっていつか誰もが忘れてしまうものも沢山あるけれど、この曲を聞くたびに、あの頃モーニング娘。から受け取っていたものは、形の見えない生きる希望だったんだなと思い出します。

そうやって過去を振り返る時、優しい気持ちになれる気がします。

10代~20代前半までは、とにかく幸せになりたかったし、自分だけ救われないという気持ちを抱えながら、がむしゃらに人生を走って、いつか成功をつかんで幸せになれると信じていました。
でも、20代後半にさしかかり、夫と出会って、この仕事をはじめて、自分だけ成功して良い思いをしていい生活をして売れっ子になりたいという欲より、もっといい作品を描きたい、そして家族や友人はもちろん、だれか会ったことのない他人を幸せにしたいという欲求の方が強くなってきました。年を取ると人は高次元の欲望を抱くようになりますね。

今も私はアイドルが好きで、アイドルを通して出会った人やアイドルをテーマにした作品でたくさんの人と出会える今が幸せだと感じています。
そうやってアイドルからもらったものを思い出して、優しい気持ちになりながら、
これからは自分のできることで、誰かを幸せにしていく人になろうと思うのでした。

女に 幸あれ(初回生産限定盤)(DVD付)

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