フリーランス漫画家の裏日記

とあるアイドル好きの漫画家の日記とちょっとしたぼやき。

恋愛をうまくできない

お題「わたしの黒歴史」

あんまりオチもないしただ長い勢いで書いた文章なのであしからず。 

 

日記にするにはもう何ヶ月も前の話になるけど、地元の同級生と久々に飲んだ時に、珍しく二軒目まで盛り上がってありがちな「小学校時代誰が好きだったか」という話になった。

 

皆それぞれ好きだった人の話とか、実は君が好きだったんだよーみたいな二十年ごしのサプライズがあったりで盛り上がっていたんですが、私は内心自分の番が来るのが億劫だった。そして案の定、私の番になってもなんの盛り上がりも見せなかった。でも、本当は超半泣きみたいな自己嫌悪に陥っていたので、恥は早めに消化してしまいたいので不眠ついでに日記にすることにした。

 

私が億劫だったのは、私の小学校時代の恋愛なんて特に誰も聞きたくないと知っていたからだ。

小学校時代の私はクラスから引かれるくらいのアニオタで、あかほりアニメやテレ東の夕方アニメが大好きで愛読書はアニメディア林原めぐみスレイヤーズに心酔していて、深夜にカセットテープでタイマー録音をセットしていたようないわゆる黒歴史的な思春期を送っていた。過剰な自意識をすべて漫画やイラストにつぎ込んで、毎日昼休みにコピックマーカーで何かを描いていて、将来の夢はプロの漫画家を目指すなんて馬鹿正直にクラスで発表しちゃうありさまだった。当然そんな私を、クラスメートは痛々しくも思いつつも、なんかよくわからないけど濃い子がいるねというふうに見ていたと思う。

 

同窓会やその集いで恋愛ネタを出して盛り上がれるのは、クラスの雰囲気を作っていた中心人物だったり、おとなしいけど成績が良くてかわいらしい子だったり、後日劇的なイケメンor美女に成長した人だけだ。間違っても私みたいなこじらせたオタクの恋話なんて、あの頃も今も誰も聞きたくない。

でも、福岡県民の妙な連帯感というか真面目さというか、誰か話すなら全員腹割って話そうよという謎の場の空気になって、わかってるよ本当はお目当てのあの子の答えが聞きたいんだろう、でも直接聞くと露骨すぎるから全員言おうみたいな縛りにしたいんだろ…と勝手に元同級生のわかりやすい下心を推し量りながら、もうほとんど顔も忘れてしまった女の子との初恋話をずっと聞き続ける億劫な時間を過ごしていた。

 

で、肝心な私の番になって、何の話しようか考えた時に、「そう言えば藍さんて〇〇君と噂になってたよね。中学時代に」という話になって、小学校のくくりだったけど中学時代は確かに〇〇君が好きだったな、でも一方的に好きなだけだったし、そのことを相談してた女友達にあっさり横取りされてしまいしばらくトラウマで恋愛ができなかったことを思いだして、その話をなんとか人前に喋れるレベルに落としこもうと口を開いた時、「でも藍さんはそういう感じじゃなかったよね当時」「〇〇君の思い込みだよねー」と急に周囲からなぜか勘違い判定されてしまい、次の話題に。真面目に話す気でいたのに驚きのあまり「そうだね」と半ばヤケみたいに肯定してしまい、まあ、いや実は好きだったよ。とか私が言い出しても、この人たち別に私に興味があるわけじゃないしな…と自虐ループがスタートしてしまう始末。

私って、まあオタクだったし、当時は恋愛のイメージがないってよく言われてたけど、30にもなってこんな風に当時の自分の外部イメージを追体験するなんて思っても見なかった。

 こうして私の中学時代の恋愛は、晴れて15年越しに「なかったこと」になってしまった。

 

その日実家に帰宅して、深夜旦那に「私中学時代オタクでね、いや今もオタクはオタクなんだけど。オタクを隠す器用さもなくクソ真面目で可愛くなかったから恋愛のイメージがないってことで、昔の恋愛がなかったことになってしまった…」とあまり意味が通らないような電話を勢いでしてしまった。まあ、ショックだったからなんですが。

 

中学時代その〇〇君のこと、めちゃめちゃ好きだったよ私。中学生だったし思いきりはしゃいでしまってみっともなかったし、きっと本人には異性だと思えなくて迷惑だったんだろうけど。相談してた友だちと公然と付き合っちゃったし。でもその後高校生に上がった時、〇〇君がのっぴきならない事情で引っ越したと聞いて、近所だったので家の近くまで行って確認しに行ったら家が売りに出されてて本当にショックを受けた。近所に一軒家で住んでいる子も、必ず同じ土地で同じ時間を過ごせるわけじゃないんだなと、田舎の中学生の私には衝撃だった。あまり良い思いをした恋愛ではなかったけど、そういう感情と記憶は今でも痛みを思い出せるほどの甘酸っぱさがある。

 

そんな、私の中では大きな出来事だったけど、同級生にとっては「そういうイメージがない」と次の話題にいってしまうような特に興味を引く話ではないわけで…私もなんで肯定しちゃったんだろう。なかったことにできるような思い出じゃないんだけどな。

 

まあ私もそんな地元の恋愛強者やクラスの男子の中央値にいる人たちにまったく興味がなかったので、興味をもってない私に向こうも興味を持つわけがないからおあいこなんですけどね。

 

考えてみればこの話を、友人にも家族にも誰にしてなかったなと思い出されたので、自己嫌悪ついでに消化しておこうと思った次第だった。

 

まあしんどかったんですが、それでも福岡の友人たちに悪気はないし、私も純朴な彼らに悩まされながらも、嫌いではない。帰りのタクシーでちょっと揉め事があった際に、同乗した同級生は女には面倒かけさせないと言わんばかりに矢面に立って運転手に対応してくれる一件もあった。そういう九州男児っぽさが全て嫌いなわけじゃない。ただずっと思春期からそういう地元の純朴さと折り合いが悪くて、結果東京に馴染んでしまっただけ。

 

学生時代いくつか恋愛はしたんですが、どれもそんな調子で似たりよったりで、いい思い出はあんまりない。あんまり無いなりに、あの頃の自分の気持ちの鮮やかさとか、舞い上がりたくなるような気持ちとか、その記憶だけが今も大事なものなのかなと感じることがある。

 

うまく恋愛ができないなりに、なんとか今結婚できたのは、あの頃うまくいかなかった自分が「このへんでちゃんと決めとけ。我々恋愛弱者にはそうチャンスは落ちてない」と後押ししてくれたんじゃないかと思うことも。いや関連性はわからないが。

 

結婚して恋愛のあれこれに悩む時期はもう過ぎたかと思っていたけど、存外そうでもなく昔の自分のイメージに振り回されて、過去の恋愛にこんな苦々しい思い出をうっかり追加してしまったなと実感した地元の集まりだった。

でもあの飲みの席で大事な思い出をなかったことにしてしまったことだけ、なんか後悔してる。昔のうまくできなかった恋愛を、笑い話のように語れる貫禄を身につけたいよ。

 

そしてせめて日記に残して、誰にも言えなかった思い出をかたちのあるものにしておこうと思った。

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