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フリーランス漫画家の裏日記

地下漫画家の藍が、フリーランス作家のかなしみやたのしさをちょっとぼやく。

ヲタ夫婦でボツになったコラム 「BiSについて」

日記

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20011年~2012年、ヲタ夫と出会った頃、
私が当時のBiSについて感じていたこと

今回、元研究員であるヲタ夫との出会いと、関係が悪くなるまでのエッセイマンガをcakesさんで公開しました。
その中で、わたしがひとくちメモという記事の最後に載せるコラムを毎回提出するのですが、今回一口にまとまりきらない文章を作ってしまったので、ボツになってしまいました。が、担当さんから快くブログに載せてもいいと許可をいただけたので、せっかくなのでこうして記事にしてみました。

当時のアイドルシーンとBiS

2011年につばさレコーズからデビューしたBiSですが、当時のアイドルオタクの中央値からすると少し外れたところで始めた異色のグループという印象でした。初めて公開されたPVが電車内で許可なく録られた迷惑行為だったり、ひたすらヘドバンをするダウナーなPVがあったり、メンバーの入れ替えがかなり激しいグループで、かわいく盛り上がれるアイドルがシーンの最前線で、炎上商法慣れしていなかった当時のアイドルオタクには異質に見えていました。

2011年に売れたアイドルといえばももいろクローバーになるのですが、この頃のアイドルはヒャダイン楽曲のような打ち込みでキラッキラのアイドルソングがまさに流行っていて、「打ち曲」という概念がオタクの間で定着しだした時期でした。打ち曲とは、MIXというヲタ芸を入れることができるヲタクがアガる曲のことを指します。この流行からBiSは全くかけ離れていたともいえます。

今になってBrand-new idol Societyを聴くと、見え方がまるで違う

Brand-new idol Societyというアルバムを引っ提げてデビューしたBiSですが、この楽曲群も当時はPVの奇抜さと暗い雰囲気で正当に評価されきれてない印象がありますが、今改めて聞いてみると、この楽曲群だけで一部の熱烈なファンを引き付けたのも納得のいく質の良さを感じます。売れてからは、激しいロック調の曲がBiSっぽいイメージですが、この頃の曲はどこか懐かしいフレンチポップスぽい味わいを感じたり、当時のアイドルシーンにどこにもなかった希少さを感じます。

メジャーデビューするBiSと、BiSファンでなかった私の個人的な所感

2012年にBiSはavexからメジャーデビューをしますが、メジャーになってもその賛否を伴う手法は変わらず、メンバーの対立構造を運営が煽ったり、唐突なマラソン企画で身体を壊すメンバーがでたり、オタクもメンバーも疲弊しながら、少しずつ盛り上がりを見せていき、「終わりのようなもの」へ向かっていく姿が私が外からBiSを見ていて感じた印象でした。

私がヲタ夫と出会ったのはメジャーに上がるちょっと前のそんな時期で、当然そんな炎上が得意なアイドルはほかのどこにもなく、私もスマイレージ東京女子流などのかわいいアイドルが好きだったので、付き合いたてのヲタ夫の趣味がまずよくわからないという事態に直面しました。ライブから帰ってくるたび汗だくで傷だらけになって帰ってきて、どうもケツバットされるためにお金を払ったり、チューチェキ(実際にキスはできない)を撮りに行ったり、何をしてるか知るたびに面白いような不安なような誰にも相談できないような気持ちになっていました。でも、なぜそんなアイドルがメジャーデビューできるのか、わからないものにぶち当たると人間は理由を知りたくなります。

研究員の文化

たまに夫に付き添ってBiSの現場に行くたびに、その独特の雰囲気に驚いていたのですが、私が好きになった理由の一つに研究員(BiSのオタクのこと)の人間力の高さがあります。夫の連れというだけだけど何か挨拶してくれたり、怖そうなイメージだったけどそんなに変な人でもなく、みんな楽しそうにふざけてて大学みたいな雰囲気でした。私が好きなのは、BiSのメンバーが自己紹介を冒頭にする時、推しが自己紹介をした直後に、その推しのオタクの中で一番面白い人が一言出し物をすることです。(出し物なのかどうかわからないですが)その出し物が面白かったら開場が湧くし、つまらなかったらブーイングと共に引きずり降ろされます。内輪ウケだと批判も多かったですが、「面白ければ筋を通せる、面白くなかったら排除」みたいな竹を割ったようなオタク文化は、研究員のリベラルさが出ているようで私は好きでした。

おわりに

ひととおり、私が当時思っていたことを自由に述べさせていただきました。
私がBiSを語る時、ヲタ夫はいつもにわかの知ったかだと言わんばかりに、「いや、そこはそういう解釈ではなく」「実際はこういう事実があったんだけどど」「あそこは正確に言うなら…」と融通の利かない理系らしいマジレスをしてくることでしょう。
でも、研究員になれなかったただの研究員の配偶者として、ただの平凡なアイドルヲタクから見たBiSの記録をこうして残していてもいいでしょうか。
そして当時の私には、BiSとの出会いがこんなに自分の人生を変える事になるとは思っていなかったので、縁とは本当に不思議なものです。
この時期にであった寺嶋由芙ちゃんとヲタ夫の特典会が忘れられなくて、由芙ちゃんに興味を持ち、その後漫画家になったあとミリオンドールの取材をさせて頂いたりお仕事をさせて頂いたりしました。
ウイカさんやコショージさんともその後仕事等で会っても、「古参オタの妻だ」という認識で触れ合ってくれて、コミュニケーション上手ではない私は初対面でもその感じになっていて結構助けられていたりします。

ヒラノノゾミちゃんは、「けっこんリア充でいいなー」というメッセージを特典のCDかなんかでくれました。

BiSの音源を聴くたび、あの頃の特典会でヲタ夫が口上を叫んでたな…とか、ドロシーリトルハッピーとのコラボの時はヲタ夫が車をレッカー送りにしてライブいけなかったんだよなとか、夫婦生活のドタバタと共に思い出されます。

そんな私の、元研究員をなんとか手懐けて結婚生活までの苦難のドタバタは、ぜひcakesさんで連載中のヲタ夫婦を読んでいただけたら幸いです。

cakes.mu